漢方診療

漢方診療について

漢方診療

私が漢方薬に出会ったのは、まだ千葉大学附属病院で外科医として勤務していたころでした。 開腹手術で癌や大動脈瘤といった命の危険のある病気は治療できたものの、手術をきっかけに腸の動きが悪くなり、便がうまく出せずお腹がはって苦しんでいる患者さんがたくさんいました。そんな患者さんたちに大建中湯という漢方薬を内服してもらったところ、全ての患者さんでうまくいったわけではありませんが、いままでどの下剤でもうまくいかなかったにもかかわらず、お腹の調子が徐々に改善し最終的にはお腹のはりがとれて楽に排便できるようになったという経験をしました。漢方薬は確実に効いていて、その効果は西洋医学の薬にはないものであると実感したのでした。

近代医学の基本的な戦略は、病気の原因を究明し、これを取り除くことで治療を行うというもので、この戦略によって多くの病気を克服することに成功してきました。しかし、原因不明の疾患、原因が判明してもそれを除去することが難しい疾患、精神的な要因が大きく関与する疾患にはこの方法論では大きな成果をあげることは困難であり、患者さんを前に打つ手がなく、途方に暮れてしまうということがしばしばです。

千葉大学大学院医学研究院和漢診療学教授の寺澤捷年先生のお話を拝聴する機会があり、その時寺澤先生は漢方治療のイメージを「人間を風船に例えると、病気、加齢、ストレス、疲労などでしぼんでしまった風船を膨らませてあげるイメージ」と表現されていました。完治することが難しい疾患をお持ちの患者さんでも少しでも楽に生きていける状態に導いてくれる、そんな可能性を秘めた治療が漢方治療なのだと思います。

たった一度の面談で症状にぴったり合った漢方薬を見つけることはかなり難しいですが、何回かお話を伺い診察させていただき、いくつかの漢方薬を実際に内服していただくことで、体調にぴったりあった漢方薬を見つけることができるかもしれません。お気軽にご相談ください。

漢方薬処方例

  • 葛根湯 風邪の引き初めで、総合感冒剤を内服すると眠くなり仕事に支障が出る方
  • 小青竜湯 花粉症の方で鼻汁が多量で鼻閉もひどく、抗ヒスタミン剤を内服するとどうしても眠気が出てしまう方
  • 芍薬甘草湯 夜、足がつって目が覚めてしまう方
  • 六君子湯 普段から胃の調子が悪く、食欲がない方
  • 当帰芍薬散・加味逍遥散・女神散 更年期障害があり、動悸や顔のほてりなどがある方
  • 半夏厚朴湯 のどに異物感やつかえ感がある方
  • 当帰四逆加呉茱萸生姜湯・苓姜朮甘湯術 暖房をつけても、温かい季節になっても改善しない冷え